昨年末からのスマートフォン料金値下げが、早くも修正段階にきている。ahamo/povo/LINEMOが登場したときは、月20GBという通信量としては割安感はあったものの、すでに料金を最適化してきた人にとっては支払額はあまり下がらないのも確かだった。しかし、ここに来て、さらにもう一段下がった料金のサービスも登場している。その先鞭をつけたと言えるLINEMOの「ミニプラン」を試した。
月3GBで990円というMVNOの格安SIMキラー
旧LINEモバイルの受け皿にもなりそう
当初はワンプランで横並びとも感じられた3大キャリアの「20GB+2000円台」の新料金プランだが、提供開始から半年たって変化が出てきている。
まず最初に動いたのがソフトバンク「LINEMO」で、7月に月3GBの「ミニプラン」を新設。料金は月990円とした(既存の月20GBのプランは「スマホプラン」という名称に)。ソフトバンクの場合、新規受付を終了した「LINEモバイル」の既存ユーザーの移行先という側面もあると思われる。LINEモバイルはMVNOの格安SIMのなかでも上位の契約数だったため、そのユーザーの他社流出を防ぐためにも月3GBのプランは必要だったはずだ。
また、KDDIの「povo」は9月に「povo2.0」となって別モノに変化した。基本料0円で必要に応じて「トッピング」と称した追加サービスを購入していく仕組みで、従来のように契約したプランの基本料金を毎月払うというサービスとはまったく異なる。
なぜこのような方針変更になったかといえば、そもそも号令を出した総務大臣が変わったという見方もできるものの、月20GBという多くの人にとっては通信量が余りそうなワンプランでは無理があったと筆者は考えている。プランに合わなければ、再び乗り換えをしなければならないからだ。
同時にソフトバンク/KDDIのサブブランドであるY!mobile/UQ mobileが、LINEMOやpovoに近い価格帯のサービス提供を開始した。しかも、Y!mobileはソフトバンクのサービスと近い形でYahoo!での各種優待サービスもある。すでに「20GBで2000円台」というオンライン専業プランの必要性そのものが薄れてすらいる。
LINEMOの位置づけとしては、月3GBのプランで「LINEモバイル」のユーザーをしっかり取り込んで他社への流失を防ぎ、必要な通信量が増えたら、月20GBのプランにアップグレードしてもらえばいいと考えているのだと想像している。
でも、一般的なユーザーにはY!mobileのほうがオススメかも!?
月3GBで990円のLINEMO「ミニプラン」だが、実はY!mobileのほうがオトクになる可能性もある。
まず、Y!Mobileは月3GBの「シンプルS」は通常は月2178円だが、家族割引を適用すると2回線目以降は月990円になる。家族で契約するならこの時点でLINEMOと並ぶ。
さらに、Y!mobileでは加入から1年は通信量増量サービスが無料で、月5GBが同額で使えるうえ、繰り越しサービスも始まっており、MVNOの格安SIM並みに通信量を無駄なく使える。さらに、Yahoo!関連の特典が充実しており、Yahoo!プレミアム会員が無料のほか、Yahoo!ショッピングやPayPayモール、Yahoo!オークションなどでクーポンが貰えることが多く、Yahoo!のサービスの活用次第でLINEMOを簡単に逆転してしまう。また、店頭でのサポートや端末購入、キャリアメールなど、Y!mobileならではのメリットもある。
月20GBを利用したい場合でも、月15GBの「シンプルM」に1年無料の増量オプションで月20GB使えて、料金は3278円とLINEMOより若干高い程度。家族割引が利用できるなら2回線目からは2090円とさらにグンと下がる。増量オプションを計算せずに月15GBと考えても、前述のように使い切れなかった通信量の繰り越しサービスがあるので、繰り越しなしのLINEMOの20GBとは使い勝手に大差ない可能性がある。さらに上の25GBの「シンプルL」もあり、20GB以上使う場合はLINEMOで容量追加するよりも大幅に安くなる。
つまり、付帯サービスや家族割引の利用次第ではY!mobileがオトクということになる。
もちろんLINEMOにもメリットはあり、単独での契約でも3GBで月額990円で収まるという点が最大の魅力となる。家族割引は利用できない、Yahoo!での各種サービスも必要ないというのなら、シンプルに月990円で済むほうがいい。
もう1つLINEMOには、加入から1年間、通話定額オプションが550円割引で、1回5分までの国内通話が実質無料になるほか、LINEでのトークや音声・ビデオ通話の通信量がカウントフリーとなる。これらのメリットを活かせるならLINEMOが有利になる。
一方、MVNOの格安SIMに比べてどうなのかという問題だが、IIJmioやOCNモバイルONE、NUROモバイルなど、月3GBで1000円を切るようなプランを用意した事業者とはいい勝負だが、3GBで1000円を超えるようなところとは、LINEMOの存在は圧倒的でまさに“MVNO潰し”と言える。
しかも、後述する速度測定でもわかるが、昼休みの時間帯などの混雑時間帯に極端に速度が落ちるMVNOの格安SIMに比べれると通信品質は上であるため、ここでもLINEMOが有利になる。
不利な点があるとすれば、LINEMOはソフトバンクネットワークを用いるので、ドコモ/auネットワークでないと電波状況的に困るという場所で使う人にはLINEMOは向いていない。
実測の数字でも混雑時間帯の極端な速度低下が見られない
続いては、LINEMOの速度を実測してみよう。いつものSpeedtestアプリを用い、LINEMOとahamoはSIMフリー機の「OPPO Reno5 A」で、MVNOの格安SIMの代表としてIIJmio(ドコモ)はシャオミ「Redmi 9T」で測定した。機種の違いや、ahamoは5G表示が出ているなどの測定条件の差はあるものの、数十Mbps以上出ていれば、通常使うには体験上で差は感じないので、その場合は「非常に快適な回線」と捉えてほしい。
平日午前10時頃の速度
平日午前はどの回線も快適。ahamoとIIJmioには速度差があるが、実際には体感上差はなく、いずれも非常に快適な回線という状態だ。
平日昼12時45分頃の速度
昼休みの時間帯はMVNOの格安SIMの最大の弱点。IIJmioが速度を落としている。その点、LINEMOやahamoはびくともしない。動画配信も快適に視聴できるが、送り手のサーバーや回線の負荷も高まるため、実際には速度測定の数字のように速さを感じないこともある。
平日夕方18時頃の速度
続いて夕方。18時頃は日によっては通信速度を落とす。LINEMOも速度を落としているが、快適に通信ができる範囲。上りの速度が落ちたことで、タッチに対する反応が若干遅く感じる場面もある。また、IIJmioの速度が大きく低下していることが気になるが、逆に上り速度はIIJmioがトップとなる。
月990円でこの実力はやはり相当に魅力的
従来は月1000円以下の安い回線となると混雑時間帯の速度低下などがネックになっていたが、LINEMOの実効速度で、MVNOの格安SIMも驚く月3GBで990円という金額は、少し前の常識からすれば驚異的だ。
比較されるであろうpovo2.0はその都度、通信量を購入する手間がかかるほか、楽天モバイルはエリアという大きなハンデがある。それぞれメリットもあるので、LINEMOと単純比較はできないが、手間なしに月3GBが使えればいいというのなら、LINEMOは間違いのない選択となる。
1人での利用で、付帯サービスも必要なく、とにかく安く使いたい、しかも混雑時の速度低下が少ないという希望で、ソフトバンクネットワークでも問題ないなら、LINEMOを検討してみてほしい。
(出典 news.nicovideo.jp)
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