今回はiPhoneとiPad、並びにそれぞれの最新OSに含まれる機能の「合わせ技による活用術」を紹介します。ふたつのデバイスを上手に連携しながら、仕事の生産性を高める便利な使い方をマスターしましょう。
Apple Pencilで書いたクイックメモをiPhoneで活用する
最初にiOS 15、iPadOS 15にプリインストールされている「メモ」アプリから掘り下げます。iPadOS 15とmacOS Montereyには「クイックメモ」という、メモアプリの新機能が追加されています。名前の通り、素速くメモを取るための機能ですが、iPadとApple Pencilによる手書き入力と相性がとても良好です。
iPadの場合、デフォルトの設定では画面の右下を上に向かってApple Pencilや指でスワイプアップするとクイックメモが立ち上がり、そのまま手書きの文字でアイデアや備忘録を書き留めておけます。
iPadの画面右下から斜め上に向かってApple Pencilでスワイプアップすると、どの画面からでもクイックメモが起動します。設定は左下からのスワイプアップに変更も可能です
住所にメールアドレス、電話番号や日付は手書きの文字の内容が自動で認識されます。テキストに下線が引かれた状態でタップすると、住所の場合はマップ、メールアドレスの場合はメールアプリが起動して、次のタスクへとスムーズに移れます。
iPadで作成したクイックメモは、ユーザーのiCloudにひも付くデバイスの間で最新のデータが同期します。iPhoneの側で手書き入力はできませんが、例えばiPadから手書きでメモした電話番号をタップして、iPhoneから電話をかけることができます。
iPhoneのSafariで読みながら気になったニュースをクイックメモに保存して、あとからiPadで手書きのコメントを加えることも可能です。ふたつのデバイスが手元にあって、iCloudの共有設定でSafariがオンになっていれば、iPhoneで開いているSafariのページにiPadのDockからでもアクセスできます。
Apple Pencilによる操作でiPadのスクリーンショットを撮る
ウェブページのURLや画像は、クイックメモにドラッグ&ドロップして貼り付けることもできます。Safariの側で続きのページを開いたり、マップアプリでこれから向かう先の地図を調べたい時に、クイックメモを開いておけばメモアプリの画面上部に「リンクを追加+」するメッセージが表示されます。これをタップすれば、関連する情報をクイックメモに素速くストックできて便利です。
iPadOS 15では、Apple Pencilを使って画面の左下隅を右上に向かってスワイプアップすると、スクリーンショットが撮れます。ウェブページをキャプチャする際には、現在iPadの画面に表示されているスクリーンの領域か、またはフルページのキャプチャをするか、ここで選べます。マップアプリも同様に、サイドバーに表示される情報を含むキャプチャか、または手書きのメモを書き込む領域が広く取れる「地図部分だけのキャプチャ」が保存の際に選択できます。
Apple Pencilによる手書きのテキストをデジタルタイピングに変換する「スクリブル」が、昨年秋から日本語にも対応しました
Apple Pencilによるスクリブル入力も、iPadユーザーならば使いこなしたい機能の一つです。
スクリブルとは、iPadのアプリや検索フィールドなど、全てのテキスト入力に対応するボックスにApple Pencilを使って手書きした文字を即座にデジタルタイピングに変換する機能です。iPadOS 14から搭載が始まった機能ですが、2021年の秋に公開されたiPadOS 15から英数字だけでなく、日本語のスクリブル入力に対応しました。
例えばiPadでApple Musicから気になる楽曲、アーティストの名前をスクリブルを使って手で書いて検索することも可能です。気になる楽曲はライブラリに登録しておけば、外出先でiPhoneを使って聴く時に素速くアクセスできます。
筆者は手書きの文字が上手ではありませんが、文字は気張って丁寧に書かなくても、テキストボックスからはみ出してもiPadのスクリブル機能は正確に認識してくれます。そもそも日本語が認識されないという方は、Apple Pencilでテキストボックスをタップした時に、画面の下に表示されるキーボードのメニューを開いて、入力モードが日本語に設定されていることを確かめてください。
2022年2月に現行モデルとして発売されているiPadは、いずれもApple Pencilによるスクリブルに対応しています。筆者は時々、周囲の方々から「スクリブルと最も相性の良いiPadはどれか?」と聞かれることがあります。答えは「どのiPadでもOK」なのですが、ひとつ付け加えることがあるとすれば、筆者の場合はふだんノートPC感覚でキーボードを使って原稿を書くiPad Proよりも、デジタルノートのように本体を片手で持ちながら使うことが多いiPad miniの方がスクリブルを使う機会が多いと思います。
iOS 15、iPadOS 15にはメールやメッセージ、その他のアプリから届く通知を一時的に減らして、目の前の作業に集中するための「集中モード」という機能があります。集中モードは「おやすみモード」「運転」「パーソナル」「睡眠」「仕事」など各種プリセットを選んでから、有効になる時間帯、実行中に例外として通知を許可する連絡先の相手やアプリが細かく設定できます。
集中モードの設定から「デバイス間で共有」をオンにすると、iCloudを通じてiPhoneとiPad、その他のユーザーが所有するデバイスの間で設定を同期させることも可能です。例えば外出先でiPhoneから集中モードをオンにして、帰宅後にiPadやMacでまとまった作業に集中できる環境を整えておくという使い方も、考えられます。
各集中モードはオフィスや自宅、リモートワークに使うカフェなど、いつもの場所に訪れた時に起動するオートメーションにも対応しています。
iPhone/iPadの使いすぎをスクリーンタイムから見直す
iOS/iPadOSの「スクリーンタイム」機能を使えば、1日の間にデバイスを使い込んだアクティビティの状況を振り返ることができます。スマホやパソコンの画面から一時視線と集中をそらして、リラックスした時間を過ごすことを意識するきっかけも作ってくれる機能です。
スクリーンタイムの画面からは、ユーザーが登録しているデバイスごとにアクティビティに費やした時間、アプリの内容を詳細に振り返ることができます。筆者もこの頃かなり長い時間ゲームに没入していたことをスクリーンタイムの履歴を見て我に返りました。
OSのファミリー共有機能を活用するれば、スクリーンタイムを使って子どものiPhone、iPadの使用状況を管理できます。春休みに我が子がゲームやSNSにハマり過ぎていないか見守る用途にも有効ですが、親子の信頼関係は壊さないよう、互いに声をかけ合いながら使いたいものです。
FaceTimeビデオ通話の楽しさが倍増するSharePlay
iPhone、iPadを使って遠くにいる友だちや家族とFaceTimeアプリでビデオ通話をしながら、エンターテインメント系のコンテンツなどを同時に視聴できる「SharePlay」も便利な機能です。
コンテンツの再生はネットワーク環境の状態にも依存しますが、ビデオ通話の参加者どうしが同じコンテンツを遅延なく視聴できるように機能は設計されています。ただ、Apple TV+のビデオ、Apple Musicの音楽コンテンツを自由にSharePlayするためには、通話に参加するユーザーが有料契約を済ませていることが条件になります。
SharePlayには、ユーザーのiPhone/iPadの画面をまるごと参加者に共有できる「画面共有」の機能もあります。例えば、Safariでニュースやオンラインショップの情報ページを、参加者と一緒に見る用途に真価を発揮します。外国語会話のリモートレッスンにも、使えそうです。筆者が試した限りでは、YouTubeの画面共有もできるので、友だちや家族とおすすめの動画を賑やかに楽しみたい時にも最適です。
近く正式リリースが予定されている最新のiPadOS 15.4以降、macOS 12.3以降の組み合わせでは、近くに置いたMacとiPadの間で、ひとつのワイヤレスマウスとワイヤレスキーボードを共用できる「ユニバーサルコントロール」という新機能が加わります。Appleデバイスによる連携機能は、今後もさらに増えそうです。一見すると自分には必要がなさそうな機能も、積極的に試してみると意外な発見あるかもしれません。
(出典 news.nicovideo.jp)
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