モトローラ・モビリティの「moto g8」は2万5800円(税込)という低価格ながら、6.4型の大画面ディスプレーとトリプルカメラ、フロントカメラ部分をくり抜いたパンチホール構造を採用するなど、流行を積極的に取り入れたスマートフォンとなっている。発売前の実機を使ってその実力を確認した。
moto g8のボディーは、約75.8×161.3×9.0mm、重さ約188.3gと、やや厚さはあるものの6.4型クラスのモデルでは一般的なサイズ感といえる。実際に手にして見ると、ディスプレーがフラットなので正面の側面部分がやや角張っている印象を受けるが、背面側は側面がカーブしていることからそれほど持ちづらさを感じることはない。
また前面のデザインで特徴的なのは、フロントカメラ部分がノッチではなく、カメラ部分だけを切り抜いたパンチホール構造を採用していること。先行して投入されている上位モデルの「moto g8 plus」のディスプレーがノッチであることを考えると、下位モデルの方が新しいデザインを採用しているというのは不思議な印象もあるが、ユーザーにとってはうれしい変更といえる。
またディスプレーサイズを比べてみても、moto g8 plusが6.3型であることからmoto g8の方がやや大きいことが分かる。しかしながら解像度はHD+(1560×720ドット)とmoto g8 plus(FHD+、2280×1080ドット)より低く、IPS液晶でもないことから、こうした点で低コスト化を進めている様子が見えてくる。
一方、背面デザインはmoto g8 plusを踏襲し、左側にカメラが縦に並ぶデザインを採用しているものの、ライトの搭載位置がやや変化している。また、モトローラロゴが指紋センサーを兼ねているという点は、ここ最近のmoto gシリーズに共通している部分であり、低価格ながら生体認証が利用できるのはメリットだろう。
トリプルカメラで楽しく幅広い撮影が楽しめる
続いてカメラだが、メインカメラは先にも触れた通り3眼構造を採用しており、低価格モデルにしてはかなり力が入っている。ただし、低価格化のためmoto g8 plusと比べると構成と性能は大きく変わっており、1600万画素/F1.7の標準カメラと800万画素/F値2.2の広角カメラ、200万画素/F2.2のマクロカメラを搭載。ToFカメラは用意されていない。
とはいえカメラに強いこだわりがなければ、幅広い撮影シーンに十分対応できるとは感じる。特に標準カメラはF値が1.7と明るいので、比較的暗い場所でも明るく撮影できるし、広角カメラによる118度での広い画角で風景などを広く捉えることも可能だ。
そしてmoto g8の特徴的な要素といえるのは、マクロ専用のカメラを搭載していることだろう。カメラを被写体に近づけると、「マクロに切り替える」ボタンが現れるので、それを押すとマクロカメラでの撮影に切り替わり、被写体にかなり近づいて撮影することが可能だ。
ただし、マクロカメラは200万画素と性能が高いワケではないので、写真のサイズも小さくなってしまう。端末上で見る分には問題ないが、他の人に送ったり、パソコンで見たりした時にはサイズ感の違いが気になるかもしれない。
またモトローラのスマートフォンらしい特徴として、楽しく撮影する機能も充実している。具体的には特定の被写体の色だけを抽出して他の部分をモノクロにする「スポットカラー」や、動画を撮影した後、選択した箇所以外の動きを止めパラパラ漫画風の動画を作成できる「シネマグラフ」などだ。
一方フロントカメラは800万画素/F2.0と、性能は高くないものの低価格モデルでは標準的な内容といえる。美肌機能の「ビューティーモード」や、笑顔でシャッターを切ることができる「オートスマイルキャプチャー」などの機能を備えており、気軽にセルフィーを楽しむには十分だろう。
性能面はmoto g8 plusと共通しており、チップセットにはミドルクラス向けとしてはもっとも新しい「Snapdragon 665」を採用。メモリーは4GBで、内蔵ストレージは64GB。microSDスロットも備えており、最大512GBのストレージ追加も可能だ。
前モデルの「moto g7」を使った時は、3Dゲームをプレイするにはやや性能が足りなかった印象があったが、moto g8でいくつかのゲームをプレイしたところ大きなストレスを感じることなく楽しむことができた。チップセットの進化に加え、moto g8の方がディスプレー解像度が低い分グラフィック描画にかかる負荷が小さいことが影響していると考えられるが、品質を強く求めるのでなければ大画面ということもあり、コンテンツは楽しみやすいといえる。
ちなみに機能面では、本体を2回ひねるとカメラが起動する、2回振り下ろすとライトが点灯するなど、独自のインターフェース「Motoエクスペリエンス」を継続して搭載。操作は難しくないことから、使いこなせばより本体操作が便利になることだろう。
スマートフォンとして利用する上で重要な通信機能に関しては、携帯大手3社及び楽天モバイルに対応しており国内での利用はおおむね問題ないといえる。SIMスロットは2つ備わっており、デュアルSIM・デュアルVoLTE(DSDV)に対応。一方のSIMスロットはmicroSDとの排他利用となるが、SIMフリースマートフォンでは一般的なものだ。
注意しなければならないのは、moto g8 plusと比べるとスペックダウンしている部分が多いことだ。一番気になるポイントはWi-Fiで、サポートしているのがIEEE802.11 b/g/n、つまり2.4GHzのみとなっている。低コスト化のためとはいえ、2.4GHzは家庭でも環境によっては混信で通信品質が大きく落ちるケースが増えているだけに、5GHzをサポートしていないのは残念だ。
またFeliCaだけでなく、NFCにも非対応だという点に注意が必要だろう。最近ではFeliCaがなくても、「Google Pay」を用いてVISAのNFCによるタッチ決済が利用できるようになってきただけに、こちらも利用できなくなってしまうというのはキャッシュレス決済の側面からも残念だ。
2万円台でこの機能・性能はオトク感が高い
改めてmoto g8を振り返ると、パンチホールを採用したモダンなデザインで、トリプルカメラを搭載し充実した撮影機能を備えながら、上位モデルの「moto g8 plus」「moto g8 power」と同じ性能を備えている。それでいて税抜きであれば2万円台前半という価格を実現しているのだから、コストパフォーマンスとしては驚異的といえるだろう。
実際に使ってみるとディスプレーの品質やWi-Fi、NFCなど随所にコストを抑えている要素が見えてしまうことは確かだが、それでも普段使いに大きく影響するマイナスポイントは少なく、必要十分な機能・性能は備えている。カメラやゲームなどに高い性能を求める、あるいはどうしてもFeliCaが必要というという人でなければ、価格的にも高い満足度が得られるだろう。
(出典 news.nicovideo.jp)
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