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 Apple Siliconの初のM1チップを搭載した3機種のMacは、エントリーモデルでありながら、それには不似合いなほどの高性能を発揮するという評価もすっかり定着した。また、構成によって微妙な違いもあるが、タイプや用途の異なる3機種は、基本となるCPUGPUが同一なだけに、ほとんど同じ性能を発揮することも明らかになっている。

 しかし、これまでのテストでは、現行M1チップとしての最大のバリエーション、内蔵ユニファイメモリーの容量の差による性能の違いにメスを入れることができなかった。前回までのテストでは、同じモデルで搭載メモリー容量の違うマシンを用意できなかったからだ。

 今回、ようやくM1搭載MacBook Proの8GBと16GBを同時にテストできる機会を得たので、各種テストを実行してメモリー容量が性能に与える影響を確認した。

専用ベンチマークアプリによるベンチ

 最初に、今回のテストに使用したマシンの仕様を明らかにしておこう。用意できたのは、言うまでもなくM1チップ搭載のMacBook Pro 13インチの2モデルで、1台は、8GBのメモリーと512GBのストレージを搭載する。もう1台は、メモリーが16GBでストレージは1TBとなっている。ストレージの容量が揃っていないが、今回のテストには、ストレージの空き容量をいっぱいまで使い切るようなものは含まれていないので、この違いが問題となることはないと考える。

 まずは、一般的なベンチマークテスト専用のアプリを使ったテスト結果を示す。アプリは2種類使用した。1つは、CPUGPUについて、様々なプログラムを走らせて、パフォーマンススコアを算出するGeekbench(5.3.1)。もう1つは、CPU上で動作するレイトレーシングによる3Dグラッフィクのレンダリング性能を、やはりスコアで評価するCinebench(R23)だ。

 このようなアプリの場合、そもそもプログラムメモリー使用量も少なく、むしろメモリー容量の違いによる性能差が出ないように考慮されていると言うべきかもしれない。そのため、ユニファイメモリーの容量によって結果に違いは出にくいと予想されるが、果たしてその通りとなった。すべてのテスト結果が、ほぼ誤差範囲に入っていて、メモリー容量の違いによる有意な差は見受けられなかった。実際のアプリでも、数値計算などを主体としたものの実行速度は、メモリー容量の違いの影響は受けにくいと考えていいだろう。

一般的なアプリによるベンチ

 次に、ベンチマークテスト用のアプリではなく、日常的なMacの使い方で遭遇するような課題や、通常のアプリによる処理時間を測定した結果を示す。

 ここで計測したのは、①中身のサイズが2.77GBあるフォルダー(実際にはiMovieアプリケーションパッケージ)のFinder上でのコピー、②サイズが11.43GBある圧縮ファイル(実際にはXcodeインストール用のXIPファイル)のアーカイブユーティリティによる解凍、③XcodeによるアプリケーションiPhone用のサンプルプロジェクトSwiftShot」)のビルド、④iOSアプリ開発用のiPhoneシミュレーター(iPhone 12 Pro Max)の起動、の各処理に要する時間と、⑤Safari上でブラウザーベンチマークテストJetStream」を動かした場合のスコア、という5つの数値だ。①〜④は、時間が短いほど高速、⑤は数字が大きいほど高速となる。

 結果は、いずれもほとんど変わらないが、誤差範囲と言い切るにはやや大きな差が出ているのは、①のフォルダーコピー、③のXcodeビルド、⑤のSafari上のJetStreamだ。

 ①のフォルダーコピーでは、CPU以外に、ストレージの読み書き性能が結果に影響する。このようなテストの場合、単純なハードウェア性能だけでなく、ディスクの空きエリアの状態も影響することもある。ただし、言うまでもなくMacBook ProのストレージはSSDであり、空き容量も十分にあるので、このテストの場合、単純なストレージの性能の差が結果に表れている可能性が高い。とすると、8GBモデルに搭載の512GBのストレージの方が、16GBモデルが装備する1TBのストレージよりも、このような処理では、わずかながら速いと考えられる。

 ③のXcodeによるアプリのビルドと、⑤のJetStreamによるブラウザー上のJavaScriptの実行速度は、逆に8GBモデルよりも16GBモデルの方がやや速い。これには、やはり実装メモリーの容量が影響していると考えられる。差は大きくないが、メモリー容量の大きさが優位に働いていることは確かだろう。

メモリー要求の大きなアプリによるベンチ

 現状で一般的に利用されるアプリの中で、特に大きなメモリーを必要とする可能性があるものを挙げるとすれば、真っ先に思い浮かぶのは、ビデオの編集ソフトだろう。他の一般的なアプリでは、一まとまりのデータ処理のために、一時に数GBものメモリーを確保する必要のあるものは、あまり思いつかない。そこで、macOSに付属の一般ユーザー向けiMovieと、アップル純正のプロ用ビデオ編集アプリFinal Cut Proを使い、編集した動画を様々な解像度で出力するのに要する時間を計測した。

 なお、ビデオの編集段階の作業に関しては、8GB搭載モデルで5Kビデオを編集する際にも、Final Cutのレスポンスは良く、編集中のプレビューでもまったくコマ落ちが発生しなかった。やはり問題となるのは、編集後のビデオを指定した解像度ファイルに出力する際に要する時間の方だ。

 まずiMovieでは、長さが50秒の4Kビデオを、SNSなどに適した480pのSD画質で出力するための時間を計測した。この程度のデータ量では、8GBと16GBの差はほとんど認められない。また、テストの順番としては前後するが、結論的な数値を先に示しておこう。Final Cut Proで編集した43秒の5Kビデオを、やはり純正のビデオ圧縮ツールCompressorを使って4Kで出力するのに要する時間では、4倍以上の差がついた。もちろん、8GBよりも16GBの方が圧倒的に速い。このような条件では、明らかに8GBモデルではメモリー不足ということになる。

 iMovieの480p出力では差が出なかったものが、Compressorの4K出力でははっきりとした差になっている。それなら、他の解像度ではどうなのか、気になるところだろう。そこで、こんどはFinal Cut Proから様々な解像度で直接出力して、出力解像度の違いに対してメモリー容量がどのように影響するかを見てみよう。Final Cut Proの「共有」機能で動画を出力する際にメニューから選択可能な「マスターデフォルト)」、「Appleデバイス720p」、「Appleデバイス1080p」、「Appleデバイス4K」、「YouTubeおよびFacebook」の各設定を利用して、「Compressorへ送信」したのと同じ43秒の5Kビデオを出力した。

 この「マスター」は、編集中のソースと同じ解像度なので、5K出力となる。また「YouTubeおよびFacebook」は、上のiMovieの場合と同じ480pのSD出力となる。

 この結果を見ると、まずソースと同じ5K出力では、解像度変換が入らないためか、使用メモリー量は少なめなようで、かかる時間は8GBと16GBでほとんど変わらない。また、16GBモデルでは、解像度変換にもほとんど時間はかからず、出力するデータ量による影響の方が大きい。したがって、5Kよりも4Kの方が、かなり短い時間で処理が終了している。一方の8GBモデルでは、480p〜1080pまでの解像度変換では、ほとんど実メモリー内での処理が可能なようで、かかる時間に大きな差はない。しかし4K出力だけが突出していて、解像度変換のためにメモリー不足になり、仮想メモリーのストレージ領域と実メモリーの間でスワップが発生しているものと思われる。

 念のために、上の表をグラフ化すると、傾向がはっきりと見て取れる。

 今回のビデオ出力テストは、あくまでも8GBモデルメモリー不足を起こして処理が遅くなる1つの例を示したに過ぎない。とはいえ、1つのアプリケーションの動作で、実際にこのような状況に遭遇するのは、他のアプリではあまりないと思われる。またビデオ出力でも、ソースが4Kのものを4K出力する際には解像度変換が必要ないので、このようなことは起こらない。また、1080p以下のフォーマットへの解像度変換は、5Kからの変換でもメモリー不足を起こしていないことからもわかるが、4Kからでもメモリー不足は起きない。というわけで、メモリー的に厳しい状況が確認されているのは、いまのところソースが5Kのものを4Kで出力する場合だけとなっている。そのような使い方をしなければ、8GBモデルでも単独のアプリメモリー不足による速度低下が生じることは、ほとんどないはずだ。

 ただし、実際にMacを様々な用途で利用する場合には、当然ながら複数のアプリケーションを同時に立ち上げて、切り替えながら作業する場合もある。その際は、個々のアプリとしてメモリー不足にならなくても、アプリの切替時にスワップが発生することがあり、切り替えがスムーズにできないこともある。また、仮想環境アプリを利用して、仮想マシンの上で複数のOSを起動するような場合には、それぞれのOSごとにそれなりのサイズメモリーを確保する必要があるため、実装メモリー容量は多いに越したことはないのは確かだ。

 結論を一言で表せば、「5Kビデオソースを4Kで出力する必要があれば16GB、なければ8GBでもなんとかなる」ということになる。

 
8GB/16GB、どっちを選ぶ? M1搭載MacBook Proのメモリーの違いによるベンチ結果


(出典 news.nicovideo.jp)

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